
人間ドック 脳ドックを作るしくみ
けれども、市場に出回っている商品としては、厚生労働省が定義を決めて表示を認めている「保健機能食品」よりも、こちらのほうが圧倒的に多いわけです。
まずは、「狭い意味での健康食品」としての「保健機能食品制度」について簡単に紹介します。
これは二〇〇一年(平成一三年)に厚生労働省が定めた制度です。
図表5‐1のように、二般食品」と「医薬品」の中間に位置するものとして、「保健機能食品」を定めています。
さらにこの「保健機能食品」を、より一般の食品に近い「栄養機能食品」と、健康に対する特定の機能があって、より医薬品に近い「特定保健用食品」の二つに分けています。
後者の「特定保健用食品」は、いわゆる「トクホ」と呼ばれて最近注目されています。
まず「栄養機能食品」は、「身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の補給・補完を目的としたもの」と定義されています。
「高齢化や食生活の乱れ等により、通常の食生活を行うことが難しく、一日に必要な栄養成分を摂れない場合などに、その補給・補完の目的で摂取する食品」と定められています。
栄養機能食品は、こうした一定の規定を満たしていれば、商品ごとにあらためて許可の申請や届け出などの事務手続きをしなくても、栄養機能食品としての表示や、製造・販売が可能となっています。
二〇〇三年(平成一五年) コー月現在、栄養機能食品として表示可能な栄養素というのは、ミネラルとして二種類、ビタミン類としてコー種類あります。
ミネラル類としてはカルシウム、鉄です。
ビタミン類としてはナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミン玖、ビタミン132、ビタミン136、ビタミン131、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸です。
栄養機能食品の場合、たとえば次のような表示が許されています。
・「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」一「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」1「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助け る栄養素です」 続いて、「特定保健用食品」、いわゆる「トクホ」について説明します。
これは、「身体の生理学的機能や生物学的活動に関与する特定の保健機能を有する成分を摂取することにより、健康の維持増進に役立ち、特定の保健の用途に資することを目的とした食品」と定義されています。
一読してもよく分からない定義ですが、たとえば、「血糖値の低下」などの効用があり、その旨を表示した食品のことです。
「特定保健用食品」は、「栄養機能食品」とは違って、表示・製造・販売にあたって、厚生労働省の「許可等の要件」を満たす必要があります。
この「許可等の要件」はいろいろありますが、その食品が健康上有用であるという「根拠が医学的、栄養学的に明らかにされていること」が必要です。
特定保健用食品としての表示が許された食品のリストは、厚生労働省のホームページでみることができます(ゴ{{t‥ヘヘwww.ヨhlw.go.jpへ{ot{nsぺつ←つにぺ{tつにに←‐に’ゴ{ヨ})。
二〇〇三年コー月現在、三九六商品が、この「トクホ」としての表示を許可されています。
トクホの場合、たとえば次のような表示が許されています。
・「腸内のビフィズス菌を適正に増やし、お腹の調子を良好に保つ飲料です」(乳酸菌飲料)・「本製品は食物繊維として、難消化性デキストリンを含んでおります。
これは食事に含まれる糖の吸収を、おだやかにするので、血糖値の気になりはじめた方に適しています」@「本製品は、分離吉豆たんぱく質を原料にし、血清コレステロールを低下させる働きのある大豆たんぱく質を摂取しやすいように工夫されてあるので、コレステロールが高めの方 の食生活の改善に役立ちます」(清涼飲料水) このように、整腸作用(食物繊維など)、血糖の低下(食物繊維など)、コレステロール低下(大豆たんぱく質など)、血圧の低下(オリゴペプチドなど)などについて、効能を謳った商品があります。
巷にあふれる「広義の健康食品」 ここまで、「狭義の健康食品」として、厚生労働省が定めた「保健機能食品制度」について説明しました。
「特定保健用食品」として販売されている商品をみると分かるように、「整腸」「血糖の低下」「コレステロール低下」「血圧の低下」などの作用については、厚生労働省が効能を認めて表示を許可した商品が多数あります。
けれども、「がん、脳卒中、心筋梗塞の予防や治療に効きます」というような表示が許されている商品は、いまのところありません。
とはいえ、一般の人たちの健康食品に対する関心は、「血糖の低下」や「血圧の低下」に留まるものではありません。
やはり、「がんに効く」というような効能に対する期待が非常に大きいわけです。
こうした期待を背景に、がんに対する効果を謳い文句にした商品が、数多く出回っています。
これらの商品は、「健康食品」「栄養補助食品」「健康補助食品」「サプリメント」など、さまざまな呼ばれ方をしています。
けれどもこうした呼称に対しては、法律上決まった定義があるわけではありません。
業者が独自の判断で名づけているだけです。
こうした商品は、「広義の健康食品」と呼べるでしょう。
ここから、「広義の健康食品」のなかでも、ビタミンなどのサプリメントの、がん予防効果についての研究の状況を説明します。
まず、第二章で紹介した世界がん研究基金の報告書が、サプリメントについてどのような判定をしているかをみてみましょう。
「がん予防一四ヵ条」(図表2-2、四七ページ)の第一四条には、「栄養補給剤ト(サプリメント)という項目かおり、次のように書かれています。
「上記の提言を守れば、がん予防のために栄養補給剤を飲むことはおそらく不要である」「上記の提言」とは、がん予防一四ヵ条の第一~第コニカ条までの提言のことで、サプリメントではなく、通常の食べ物の摂取に関する提言です。
つまり世界がん研究基金では、普段の食事に注意していれば、あえてがん予防の目的でサプリメントを摂る必要はないという判断をしています。
その背景には、がん予防効果について十分な科学的根拠のあるサプリメントが、じつは存在しないという事情があります。
β-カロテン研究への期待 さて、がん予防とサプリメントの話をするときに、どうしても避けて通れないのがβ’カロテンの話です。
この問題について、少しくわしく説明します。
にんじんやかぼちゃなどの緑黄色野菜に豊富に含まれるβ-カロテンには、活性酸素(フリ土プシカル)が細胞や遺伝子を傷つけるのを防ぐ働き(抗酸化作用)かおることから、がん予防の効果かおるのではないかということが、この二〇年来いわれてきました。
β‐カロテンは、がん予防のいわば「特効薬」として期待ざれてきました。
じっさい、β‐カロテンの効用を示す細胞レベルの研究や動物実験のデータは、たくさんありました。
そればかりではなく、じっさいの人間集団を対象にした研究でも、βIカロテンのがん予防効果をうかがわせるようなデータが多数ありました。
そこで、β‐カロテンをサプリメントとして投与したら本当にがん予防ができるかどうかを確かめるための大規模な臨床試験が一九八〇年代から始められ、その結果が一九九〇年代に次々と報告されました。
β-カロテンのサプリメントの効果を調べるために行われた、代表的な臨床試験の概要を図表512に示します。
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